Dental

歯科

歯科疾患

よくある病気「乳歯遺残(晩期残存)」

すでに永久歯がはえていて、本来抜けていないといけない時期になっても乳歯が残り続けている状態です。歯が密になることでプラークがたまりやすく、歯周病になりやすいです。また、永久歯がうまくはえずに歯並びが悪くなり、歯がどこかに当たるトラブルになることもあります。
適切な時期に抜くだけでも、歯並びが改善する可能性があります。残存乳歯の抜歯にも全身麻酔が必要ですので、避妊/去勢手術などの時に一緒に抜くことをお勧めしています。

早期発見したい病気「埋伏歯」

成長期にうまく生えてこられず、顎の中に埋まったままになっている歯です。将来、周りの骨をとかして嚢胞をつくることがあり、バイ菌が入って膿瘍になったりすることがあります。できれば早期発見して摘出した方が良いです。
歯の本数が足りない場合には、埋伏歯の有無をチェックするため歯科用のX線撮影が必要です。この撮影には全身麻酔が必要なため、全身麻酔をかける機会でもある避妊・去勢手術時に歯科用X線撮影を同時に行うことを推奨しています。

歯周病

犬猫では虫歯(う歯)はほとんどないですが、歯周病はとても多いです。
犬では2歳以上の8割が、猫では4歳以上の7割が、歯周病に罹患していると知られています。小型犬に限定して言えば、1歳時点で9割のこが歯周病とも言われています。
歯周病はただ『臭い』だけの病気ではありません。歯の周り(歯を支える顎の骨)がとけていく病気です。放っておくと、『痛い』『歯がぐらつき、抜ける』『歯の根っこの先に膿が溜まって顔が腫れる』『口と鼻を隔てる骨がとけて、口の中と鼻の中がつながる』『骨がとけて下顎が骨折する』などになることがあります。
そこまでの大きな症状が出る前に、早めに治療をしましょう。

歯周病の治療

歯周病の治療も予防も、ホームケアと歯科処置からなります。

  • ホームケア

    ホームケアとは、日常的にご家族が行うデンタルケアです。いきなりはできないので、トレーニングによって身につける必要があります。理想的には1日2回のブラッシングですが、その子のその子の性格や習熟度に応じて、ケアの内容をカスタマイズ・ステップアップしていきます。

  • 歯科処置

    歯科処置とは、動物病院にて全身麻酔で行う処置のことです。動物は口を開けて止まっていられないので、全身麻酔が必要になります。口を開けて歯を見ただけではわからない病変は、このときに歯科器具や歯科レントゲンで見つけて診断します。
    人と同じく、どちらか一方だけでは効果は限定的です。ホームケアで足りない分は、歯科処置で補う必要があります。

歯科処置の流れ

  • ①処置前

    診察室での視診・触診で仮診断+麻酔リスク評価のための検査

  • ②当日検査

    当日、全身麻酔下で検査(プロービングや歯科レントゲンなど)・診断

  • ③スケーリング・ポリッシング

    歯科処置前の状態
    治療(スケーリング・ポリッシング、必要に応じて抜歯・歯肉縫合・粘膜フラップ手術)

  • ④処置後

    歯科処置後の状態
    後日、再診察を行ないます

歯周病の予防

歯周病は予防ができる数少ない病気の1つです。
進行してから治療をするのではなく、若いうちからホームケアをはじめ、進行する前に歯科処置を行うことで、口の中をより健康な状態で保ちやすくなります。
口の中が痛くなってからデンタルケアをやろうとしても、当然ながら嫌がってしまいます。症状が出る前からトレーニングをするのが肝心です。
見た目や臭いのためだけでなく、生涯にわたって、好きなご飯を食べて過ごせるように早めに歯の健康の相談にいらしてください。

当院にあるデンタルケアグッズ

ブラシ
動物にとって1番ハードルが高いグッズです。お口が小さく奥まで磨くのが難しい小型犬向きのブラシや、歯周ポケットが深い子用のブラシ、まだ歯肉炎がない子用のブラシなど様々なタイプがあるので、診察でご相談ください。
シート
デンタルケア入門の犬猫におすすめです。人の指に巻いて歯を擦って磨きます。
ジェル/ペースト
シートやブラシと併せて使用してください。いくつか試して、好みの味をさがしてみましょう。
スプレー
シュッとされるとびっくりしちゃう子もいます。触れられると痛いような状態の子にとっては選択肢に入れてもいいかもしれません。
歯磨きガム
奥歯の大きな歯の歯垢を除去するのに向いています。その部位は特に歯石が多くつきやすく、磨きにくい部位なので、補助として向いています。ブラッシング後のご褒美にしてもいいでしょう。(たまに市販で硬いガムがありますが、歯が欠ける・割れる原因になるので、ハサミで切れない硬さのものは与えないでください。)
飲み水に混ぜる薬
効果はかなり限定的ですが、何もやらないよりいいです。顔も触れないようなワンちゃん・猫ちゃんにおすすめしています。
サプリメント
口腔内の善玉菌やラクトフェリンなどの歯周病予防成分が含まれています。錠剤のまま飲み込む以上に、砕いて口の中に広がるようすることでより効果が高くなります。歯周病の進行を抑えてくれる働きがあります。口臭のある子は、それが減りますのでその効果がわかりやすいです。